面白くて、読みやすくて、タダで読めるのに、ためになる!
あなたの一冊
悩みのるつぼ〜朝日新聞社の人生相談より〜
この本を紹介してくれたのは
松山大学 経済学部
2019年卒
荻山 恭章 さん
職業:IT企業

本に出合った経緯

社会人2年目の頃、その当時は教育現場で働いていたこともあり、学生から様々な相談を受けることが多い立場にありました。
話題はプライベートな悩みから、学業や将来の就職先、はたまた家族や友人にさえ話すことができない悩みを打ち明けてくれる子もいました。悩みを打ち明けてくれた子達の力になりたいと思いながらも、ただ話を聞くことしかできない自分に力不足を感じていました。

ちょうどそんな時、この本の著者である岡田斗司夫さんの講演動画を観る機会がありました。
「この人の本を読めば自分も悩みのスペシャリストになれるのでは!」と思ったことがこの本を読んだきっかけです。
正直な所、この本を読んだからといって全く悩みなく過ごせたり、人の抱える悩みをすぐ解決出来るようになったりはしません。ただ、悩みとの向き合い方を知ることはできました。自己満足かもしれません。それでも、この本と出会ったことで、自分に悩みを打ち明けてくれた子達の心を少しは楽にしてあげられたのではないかと思っています。

その本から学んだこと、考え方の変化

①相談者の味方になる

学生からの相談を受けることに慣れてきた時にに痛感したことです。学生の話を聞いている最中に、「こうすればいいんじゃない?」と自分の中で答えがすぐ出るようになりました。せっかく、勇気を振り絞って相談してきてくれている学生に対して、話を全部聞き終える前に自分の考え伝えるのってものすごく失礼ですよね。それに、何か答えが欲しくて相談をすることって意外と少ないように思います。自分の中でおおよその答えが出ているけど、勇気がなくて、決断できない。みなさんも誰かに背中を押して欲しくて相談をすることはありませんか?
誰かの相談に乗るときは、相談者の味方としてのスタンスを崩さない。相手と同じ立場になって考えることで、本当の悩みを見つけるためのスタートラインに立てるのだということを「悩みのるつぼ」から学びました。

②本当の悩みの見つけ方

「悩みのるつぼ」では合計11個の悩みと向き合うための思考ツールが紹介されています。思考ツールといっても、難しいものじゃありません。悩みを四つに分類してみようだとか、悩んでいる物事に点数をつけてみようといったものです。
「悩み」とは「複数の問題がこんがらがった状態」だそうです。よくよく自分で思い返してみると「ああでもない、こうでもない」と問題を複雑にしているのは自分で、少し落ち着いて視点を変えてみるとそれほど大した悩みでないことがほとんどでした。「悩みのるつぼ」で紹介されている思考法を試してみると、自分の中の悩みをシンプルにすることができて、今自分が集中すべきことを明確化することが出来るようになりました。

③愛のある答え

「悩みのるつぼ」では悩みと向き合う為の思考法を数多く教えてくれます。ただ、論理的で合理的な答えが必ずしも相手のため、自分のためになるとは限らないとこの本を通して気づきました。
①や②でお話したことが出来るようになると、相手の欲しいと思う答えをおおよそ思いつくことが出来るようになります。ただ、相談を受ける度にそれだけでいいのかなと思うことも増えてきました。他人事のような、受け答えだけでは本当の意味で学生のためにはならないと思っています。わざわざ、親友や家族ではなく自分を選んで相談してくれたことを忘れてはいけないと思います。
相手の内面に一歩踏み込んで、相談者のことを本気で考えてみる姿勢の大切さを改めて学ぶことが出来ました。

印象に残っているシーンは?

一番印象に残っているのは、父親が大嫌いという女子高生の悩みに答えた冒頭のシーンです。
女子高生の母は娘に「お父さんみたいにならないで」といい、相談者である女子高生は「父親なんて死ねばいい」とまでいいます。相談者の女子高生は父親から虐待されているわけではなく、ただ娘に無関心な父親が憎く、休日は泣いて過ごすほどにストレスを抱えていると言います。それに対しての著者の回答があまりにも秀逸で、歯を食いしばるほど悔しい想いもしました。なぜ悔しかったかというと、似た悩みを学生から相談されたことがあったからです。その学生の場合は、母親に対してでした。その学生が精神的に脆い子だと知っていたため、自分はその学生からの相談に曖昧なうなづちをするばかりで、答えることはできませんでした。「この冒頭のシーンのような答えをあの時学生に伝えることができていれば、、、。」という悔しさもあり、非常に印象に残っています。
著者である岡田さんがどのような回答をしたかはぜひ「悩みのるつぼ」を読んで確認してほしいです。

どんな人におススメしたいか

すべての人におすすめしたいと思います。
この本は「絶対に松山大学の学生にこの本を読ませてやるぞ」という意気込みで選びました。
じゃあ、「どうやったら学生の方が読んでくれるかな?」と考えた時に、【徹底的に実用的】で【本を読んだことがない人でも読みやすい本】にしてやろうと思いました。
この本はとにかく面白くて、読みやすく、タダで読める本です。
あの「新世紀エヴァンゲリオン」を制作した会社の創業者の方が著者で、アニメ制作者ということもあり話の展開が非常に面白い。文章自体も関西人ならではの軽快なノリや口語調で書かれているため、スラスラと読み進められます。
また、岡田さんが執筆された著書の多くは、FREEexという取り組みによってブログ等で無料公開されており、あまりお金に余裕のない学生でも手に取りやすいというのもおすすめする理由の一つです。
少しは読んでみたいと思ってもらえたでしょうか?
自分は、悩みを持っていない人なんているわけがないと思っていますし、年を重ねていくほど悩みは複雑かつ多様になるものだと思います。だからこそ、誰にも相談できないような悩みを抱えてしまう前に、悩みとの向き合い方を知ってほしいと思います。

読書について

読書時間について

■学生の頃
ほとんどありません。課題やレポートのために本を読む程度です。

■現在
平均すると1日に30分程度だと思います。
仕事関連の本や本屋でたまたま目に留まった本を休日に読んでいます。
毎日コツコツ読むタイプではないので、読むときは一日で読み切ることが多いです。

読書へのスタンスは?

■学生の頃
ゼミや授業のレポートに必要となる本を読むだけで、自分の意志で読みたいと思って読書することは少なかったように思います。
読み方も雑で、レポートに必要そうな本をたくさん。しかも、レポートを書くのに役立ちそうな箇所だけを抜き出して読んでいました。
当時は効率の良い読み方だと思っていましたが、身にはなりませんでした。
読書のスタンスとしては、今必要な知識だけを本から得るといったもので、1冊の本をじっくり読み込むことは少なかったです。

■現在
社会人になってからは、同じ本を何度も繰り返し読むようになりました。学生時代と違い、課題のためやレポートのためではなく、自分のために読むようになったからだと思います。
あと、本を読むと自分が少し賢くなった気がして、自信が湧いてくるので読むようになったのかもしれません、、、。

また、以前はベストセラー本やランキング上位の本をよく読んでいましたが、社会人になってからは自分が好きだと思う著者の本をよく読むようになったと思います。今回紹介した岡田斗司夫さんもそうですし、他にも森岡毅さんなど、この方の考え方や価値観が好きだなという方の本を好んで読むようになったと思います。

あなたの一冊
悩みのるつぼ〜朝日新聞社の人生相談より〜

他の先輩のおすすめの一冊